フランスで「痩せすぎモデル禁止法」が2017年5月に可決されました。ファッションの国フランスで、不健康な激痩せのモデルをご法度にするとは、これから世の女性の美に対する意識も変わっていくのでしょうか。
目次
痩せすぎモデル禁止法が制定された理由とは?
「痩せていることは美しい」という女性の美に対する概念に歯止めをかけ、拒食症を防ぐという狙いで、この法律が制定されました。
「美しくなりたい。」というのは、古今東西全ての女性の願い。ファッションモデルを美の基準とし、モデルの体型に憧れるのはごもっともです。
でも、ファッションモデルの痩せすぎ体型に憧れ、極度なダイエットをし拒食症にまで発展するということが、フランスでは特に近年問題となっていました。
法案を提出したフランス社会党のオリビエ・ベラン議員によると、
現在、約3万~4万人のフランス人女性が拒食症に苦しんでいるのだそう。
オリビエ・ベラン氏によるコメント:
「その9割は未成年者だ。女性が美しくなってショーに出るには病的に細くならなければいけないという、ファッション業界が振りまくイメージは非常に強い社会的影響を持っている。」
フランスでは約4万人が拒食症。うち90%が女性。 https://t.co/IMZz5zAi4a
— 政治・経済・社会 (@germany0092) September 6, 2017
痩せすぎで生じる健康への影響は?
ダイエットといえば多くの女性の永遠のテーマでもありますが、間違ったダイエットをすることで、ミネラル分の不足が生じることが大きな問題を引き起こします。
カルシウム不足は、骨粗鬆症の原因になります。また、鉄分不足は貧血、生理不順を起こし、ひどい場合は不妊症にも繋がる可能性があります。
特に若い女性は、「痩せたい。細くなりたい。」ということだけに意識が向き、健康に異常をきたす危険性を認識できないことが問題です。
さらに、BMIが18以下の人は寿命が短いというデータも出ているそうです。
日本も例外ではなく痩せすぎ志向
日本人女性の一般的摂取カロリー量は、戦後間もない時期の水準にまで減っているのだそう。
その背景には”ダイエットブーム”があり、BMI18·5以下の“痩せ”に分類される女性が全体の20%ほどもいるという統計が出ています。
BMIとは?痩せすぎの基準とは?
世界保健機関(WHO)のガイドラインでは、BMIが18.5以上25.0未満を標準体重、18.5未満は低体重としています。
さらに、17以上18.5未満を痩せ気味(Mild thinness)、16以上17未満を痩せ型(Moderate thinness)、16未満を痩せすぎ(Severe thinness)と定められています。
法律が施行されてからは、ファッションモデルたちはWHOが定めた標準体重を基準に(BMIが18.5以上25未満)、BMIが健全な範囲内に収まっていることを医師による診断書による証明しなければならなくなりました。
BMIの出し方は?
体重を身長の2乗で割って算出します。
BMI= 体重kg ÷ (身長m)2
適正体重= (身長m)2 ×22 |
例:体重50kg、160cmの人の場合
50÷(160×160)=BMI=19.5となります。
また、身長160センチの人の適正体重は、
22x(160×160)= 適正標準体重=56.3となります。
違反した場合の刑罰は?
”モデル事務所に対し、所属する各モデルについて、BMI値が健康とされる基準を満たしていることを証明する医師の診断書の提出を義務付ける。”
という法律に違反した場合は、
”最高で禁錮6月の実刑と罰金7万5000ユーロ(約970万円)の罰金”が科されます。
また、この法律の対象はモデル事務所だけではありません。
拒食症を容認する考えを表すウェブサイトもを違法化し、
「必要以上に細さを美化すること」も犯罪となるそうです。
法案を支持するマリソル・トゥーレーヌフランス保健相のテレビで述べられたコメント
「モデルたちはよく食べ、健康に気を使うべきだ」
「これは、モデルたちを美しさの手本とする若い女性たちへ向けた重要なメッセージだ」
最後に
美しさには色々な姿、形があります。皆違って当然。
メディアの影響により、女性の健康に影響を及ぼす考えが植えつけられ、痩せた体型こそ美しいという思い込みに、今回のフランスの新法律によって歯止めが効くことになるのでしょうか。
多くの女性の意識が変わり、健康で美しくあることを目指す人が増えることを願いたいです。
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