ブドウにはタネがあって当たり前という時代は終わり?近年”種無しブドウ”というものがスーパーでも出回るようになりましたが、種無しブドウはどうやって作られているのか、体に悪いのではないか?という疑問も湧いてきます。そこで種無しブドウについて、栽培方法、安全性などを調べて観ました。
目次
種無しブドウ、便利だけど体に悪い?
人間をはじめ、自然界のものは種から育っていきます。
成長し、また種をつくり、種交配によって子孫を残すことで命が繋がっていきます。
多くの果物などの種子植物の場合は、雄しべの花粉が雌しべの先につくことで花が実へと成長していきます。
そうやってできた実の中には、次の命につながる種ができます。
そんな自然界の流れがあるということと、種無しブドウの存在を考えてみたいと思います。
人工的に作られたであろう種無しブドウ、体に悪影響はないのか?という疑問を持ったことがある人もいるのではないでしょうか。
種無し&皮もだべられるブドウもある!
ブドウに種がなかったらいいのに〜なんて思いながらブドウを食べたことはありませんか。
そんな消費者の声に応えようと、研究を重ねて作られたのが種なしブドウです。
種無し巨峰や、ピオーネなどは特に有名ですね。
様々な品種が改良され増え続けているのですが、種無しブドウの代表としては以下のような種類のものがあります。
ナガノパープル
巨峰とリザマートという品種のブドウを掛け合わせた品種で、
種がなく皮まで食べられるという特徴があり、ブドウの面倒くささを全て取り去ってくれた優れもの。
シャインマスカット
白ブドウのマスカットの良い香りと甘さの濃厚さが特徴。
こちらもナガノパープル同様皮まで食べられます。
海外産のブドウ
アメリカ、チリ、オーストラリアなどで栽培される海外産のブドウもスーパーでも見受けられるようになりました。
大手スーパー、コストコなどのチェーン展開のあるお店で売られていることが多いようです。
レッドグレープとグリーングレープの2種類があります。
(Seedless”シードレス” と書かれているのは種無し)という意味です。)
シャリシャリと違和感なく皮も一緒に食べられますが、日本のブドウに比べると酸味が強く甘みが少なめですあっさりしています。
種無しブドウが人気!?
ぶどうには「種あり」と「種なし」がありますが、消費者に好まれるのは食べやすい種なしぶどうのほうです。
種は出す必要があるし、もちろん『種無し』が食べやすくて好みだという方が多いようです。
特に、小さいお子さんでも種無しブドウなら食べやすいですよね。
近年人気の高い種なしぶどうですが、じつはその多くは最初から種がない品種という訳ではありません。
もちろんもともと種がない品種も存在するようですが、果物に種があることは自然で当たり前のこと。
種無しブドウの多くは、栽培の過程で「ジベレリン」など植物ホルモンを使用することで種なしのブドウを作っているのです。
普通に私たちの食生活に溶け込んでいる「デラウェア」「種なし巨峰」「種なしピオーネ」なども、元々は種のある品種で、このように栽培の過程で種ができないようにホルモンが利用されていたのです。
ジベレリン処理とは?
ブドウの花が満開を迎える頃に、ジベレリン液にブドウの房ごとに浸し、液をぶどうの花や軸を通して浸透させます。
通常果物が実をつけるのには雌しべと雄しべの受粉が必要になるのですが、ブドウはジベレリン液を利用することで受粉なしでも実をつけることができるというメカニズムを利用した方法です。
受粉の代わりに、ブドウの実をつけるためにジベレリン液を使うという植物ホルモンを使う人工的な方法で、種ができないのです。
種無しブドウを生産するために行う。具体的には、粉末状のジベレリン A3 を必要量水に溶かしジベレリン水溶液を作る。それをカップ状の容器に入れ、ブドウの房をカップの中の水溶液に浸漬する。この処理はブドウの房ひとつひとつに対して手作業で行わなければならず、かなり手間のかかる作業である。なお、ジベレリン自体は無色透明であるので、このままであると処理済み果実との判別が出来なくなるので食紅等で溶液は着色させている。着色させることにより処理した果実には色が付き、処理済みか否か判別できる
Wikiペディアより
ジベレリン処理の使用!種無しブドウだけじゃない!
消費者のニーズにこた得るためにこのように種無しブドウが作られている方法がわかりましたが、植物ホルモンが利用されていたとはちょっと意外でした。
このジベレリンをブドウ栽培に利用することで、実は他にもブドウづくりのメリットがあったのです。
1回目のジベレリン処理=ブドウの開花前…ブドウを種無しにするため
2回目のジベレリン処理=ブドウの花の満開後4日〜14日ほど(品種による)…ブドウの成長を促すため
ジベレリンって何?副作用は?
ここまでジ食物ホルモン”ジベレリン”がブドウ栽培にどのように役立つかをお伝えしてきましたが、やっぱり引っかかるのが、人工的なホルモン栽培で作られた果物の健康被害ですよね。
ということで、ジベレリンについて調べてみました。
ジベレリンというものは植物の病菌から発見された“植物ホルモン”のひとつで、『化学合成農薬』に分類されます。
ジベレリンには、野菜や果物を栽培する側にはとても嬉しい効果を発揮してくれる化学物質で、以下のような作用があります。
●茎や葉をの成長促進
●受精なしで果実を大きく成長させる
●開花を早める
●種子を発芽を促進する
ジベレリンが化学物質であるということは、副作用の危険性も無視することができませんね。
ジベレリンの健康被害は?
農家さんが手間をかけて一生懸命作ってくれる種無しブドウなのですが、
ジベレリンには発がん性の危険性があるということが、海外の動物実験により証明されているようです。
他にも、消費者のニーズに応えようという目的で、種無し果物の研究や栽培が進められているのですが、植物ホルモンの使用のほかには、放射線処理をしているものもあるようです。
まとめ
種があって当然の果物に、人間のニーズのために化学農薬、植物ホルモン、放射能など体に害をもたらす可能性のある物質を利用した品種改良がなされている。
それが種無しブドウなど、私たちの手間を省くために作られた作物なのですね。
やっぱり簡単なのが一番!種なしブドウの食べやすさに満足!というお声もあると思いますが、私の一個人の意見としては、
”自然は自然のままであってこそ素晴らしい!それが守るべき自然の姿!”
と、子供を持つ身の母親の立場として私は感じています。
やっぱり食べるものは、できれば有機肥料を利用したもの、減農薬のものにこだわりたいですね。
私が種無しブドウを選ぼうとした時に、
「種があってこそブドウなのに….」とポツリとつぶやいた夫の言葉を思い出しながらこの記事を書きました。
たとえ食べる時間や手間がかかっても、自然の良さや美味しさを忘れたくない、と思います。
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